TOKYO

PIPE DREAM

LAND

ーあなたのユートピアはどんな場所ですか？

理想郷？難しいな。言葉のイメージだけだと、みんな裸でいわゆる天国みたいな、ちょっと生ぬるいみたいな。植物生えてて暖かくて、皆ほわほわしてて睡蓮みたいな花が咲いてて、みんな何も苦しくないみたいなイメージ、言葉では。でも別に僕はそこに行きたくないな。いわゆる一回死なないと行けない的な感じがしてるからあんまり興味ないなって。現実の方がよっぽど楽しい。クラブとか集団合コンみたいなやつとか？あとは、あーなんか闇カジノ的な隠れてやってるようなとことか。なんかでもパーティ的なもの。人がいっぱいみたいな。狭い部屋に人がいっぱいみたいな、なんかなぁ？見てみたいくらいですね。自分は参加しなくていい。あ、なんかほら、おじさんとか高いお金出して女の子集めてるみたいな。自分は行かなくていいけど見てみたい気持ちはあります。イメージでしかないから何ていうか自分の理想ではないって思ったんですよね、すごく。ユートピアって流布しているイメージだなと思って、けどそれって理想の何かを考えて生み出したイメージではないじゃないですか。その時に結構違うかもと。

ー東京はどんなところですか？

えー住み良い。電車が便利。思ったより冷たくない。うーん、東京。ああ、自分次第の要素が強い気がしていて。それこそ何かを選ぶとか、どうしたいかとか、何とかなる場所って感じだから自分次第。数が多い。そういうことができるなあって思うことと、北と西に近いっていうのは良いことだなあと思いますね。ちょうど真ん中、ぽいですよね。いいことだなあって。なんか福島の友達が深夜バス2000円で帰れるって。京都も近いじゃないですか、いいっすよね。

ー東京で成せたことはありますか？

自分のことが良くわかるようになった。うーん。演劇始めた。年上の人と普通に話せるようになった。うーん。ご飯ちゃんと作れるようになった。植物好きになった。東京で成せたこと。ああ、文化的なものに触れる選択肢が増えたとかありますね。自分でなんとかしようって思う気持ちになった。それは欲しいものは探せば見つかるしみたいなことですけど。免許とった。川が好きと気付いた。長崎のことも意外と好きってわかった。ああ、長崎のことが意外と好きってわかった。うーん。全体とかじゃなくて個人のことで考えることが出来るようになったのは、東京のおかげですね。そんな感じです。あ、もう1個あった。長崎にいた時って東京が遠い場所だったんですよ。遠い場所の一つとして「東京」だったんですけど、東京に来たら、東京が遠い場所じゃなくなったから、ちゃんと遠い場所のことを考えるようになった。たぶん長崎にいた時より戦争のこととか、違う場所で起きてることとか、「東京」が遠い場所として阻んでいたことが、東京に来たことで阻みが無くなったから広がったなぁてのはあるんですね、たぶん。

ー東京で遠いところはどこですか？

八王子とか。ああ、それこそタワマンとかに住んでる人。クラブで遊んでる人とか。人、人だな。そこに住んでる人、そこで遊んでる人、TikTokの動画撮ってる人、何が楽しくて遊んでるかよくわかんない人、とか。でもなんか距離じゃないなって。物理的な距離じゃなくて、距離感。例えばすれ違う人が、今言ったタワマンに住んでる人だとして、あんまりその人に対して遠いと思うことはなくて。その人を遠いって言った瞬間に遠くなってしまうし、むしろ近いものの方が無いんだなって気持ちになるし、エリアを区切っても区切らなくても物理的な距離で伸び縮みしないんですよね、それって。だから例えば友達にそういう人が居たらその人のことがわかる。例えば北海道に友達がいるから、顔を思い出すから、飛行機で2時間で行けるってわかったから、物理的な距離で考えるっていうことは無いと思います。

ーあなたは何者ですか？

名前が最大値。中條玲。それ以下はあるけど最大値。これに紐づけていきたいって感じ。オリジナリティみたいな。売れたいみたいなことではないけど、この名前にこれっていう状態がいいことですね。そういう意味では。

ー東京で好きな場所はありますか？

浅草、墨田区、台東区、今住んでる武蔵野市、好きなスポットがいくつかあります。あとは渋谷区も好きだし、神楽坂とか飯田橋とか御茶ノ水とかあの辺も好きですね。隅田川沿いの駒形橋の下のとこ、今住んでる家から井の頭通りを下っていって環八に突き当たるところがあって、そこの高架下。多摩川の、あれどこら辺だったかな、等々力付近の川の中洲が現れるその一角。あぁ、荒川の野球場があって、荒川アンダーザブリッジより海よりのエリア。曳舟の駅前の喫茶店、2階の。無限にあるね。地理っていうか、好きな場所がある感じですね。最近気づいたんだけど、好きな場所意外とみんな無いよね。好きは一緒かも。でも家の方が自由かな。他のところはあんまり手を加えたり出来なくて、偶然好きってなる。家は好きな場所にしていった。モチーフは似てる。川があるとか植物があるとか。でも一緒じゃない。そこにはそこにしかない何かがあって今でも時々駒形橋のあの感じが必要だなって思ったら行くし。一級河川って言葉いいですよね。

ーあなたの東京での目的はなんですか？

そうですね、うーん。ちゃんと生活すること。死なないくらいのお金を稼いで、ちゃんと楽しいことが出来るくらいのことをして、自分がやりたいことやって。まあそれが誰か、知り合いとか個人とかに対して何か出来るみたいなことは、あ、でも東京じゃなくていいのか。まあでも、東京で、いま自分ができる範囲ではやれてるんじゃないかなって思いますね。でも、東京で生活するみたいなことは大事です。やっぱコロナになった時みんな結構ちゃんと退屈になったりしてたからいい感じだなあと思ってたんですけど。いまみんな同じ速度に戻ったなって。その速度じゃない方が良いなって思うこといっぱいあるし。それを、東京では無理だーってなって違うとこに行ってやるのではなく、東京でやれると良いなって思いますね。最近気付いたんですけど、色んな人がいるから。色んな人がいるって良いことだから。今までは名前をつけないことで、何か掴み取れない状態みたいなことを探そうとしてたけど、最近思ったことは、枷をいっぱいつけたら、ついてない状態と一緒だなと思って。その一個一個を大事にするってことですね。それはやっぱ時間がかかること。100個大事にすることと1,000個大事にすることだったら1000個の方が大変。その数を限りなく増やしながら大事にすることが東京にいる理由です。100個の方が楽だから100個の方に行くんじゃなくて1,000個の方でやる。

ーあなたの理想の1日を教えてください

その日は、朝7時半くらいに起きる。天気が良くて割とカラッとしてて窓開けて過ごしやすい。お腹空いてるけどそんなに空腹に耐えられないわけじゃないから掃除と洗濯して雑巾掛けもして、歯を磨いて植物に水あげて、タバコ吸いながら植物に水やり。ちょっとお腹空いたなーと思ってパン焼いてスクランブルエッグみたいな、ちょっとだけ調理する。コーヒー入れてちょっとゆっくりして、水回りの掃除終わらせる。で、予定は夜というか午後からだから午前中は自分のことやる。音楽聴いたりテキスト書いたり散歩したり、生活に必要じゃないけど欲しいもの買いに行ったりして横になったりして。で、お昼ご飯。外で食べる。800円くらいでめっちゃ美味しいランチとか見つけれたら最高。で、人と会ってお茶して夕方くらいに解散して、スーパー行って買い物して帰ってご飯作って、なんかちょっとだけめんどくさい料理して米炊いて汁物ひとつとおかずを三つくらいできたらいいな。食べて片付けもすぐ終わらせられて、お風呂入って、出来たらストレッチとかもしたいですね。あ、でもそのときには洗濯物とか片付けが終わってて、なんか動画見たり音楽聴いたり映画見たり、あ、でも夜にコーヒー飲むのがすごい好きなんで、もっかいコーヒーいれてタバコ吸って、ちょっと早いけど寝るかと思って横になってすんなり寝る。ひとつめ。ふたつめ。その日は朝目覚めてもっかい寝る。次目覚めたら10時くらいで、次は意外とスッと起きれて、掃除とか洗濯してご飯食べて。この日は適当でいい。タバコ吸って水やりして色々終わったら12時で、あーもうお昼ご飯の時間。で、さっき食べたのになあって言いながら、もっかいご飯食べる。その日なんもなくて自転車乗ってコーヒー豆買いに行ったり、ちょっと遠くの雑貨屋さんとか見に行って帰ってくる。夜は人とご飯行く。お酒飲んで、でもそんな飲みすぎてなくて一軒目で解散。家帰ってお風呂入って片付けしてふぅーってなって横になってまだ11時半でだらだらして気づいたら寝てる。仕事がある日の理想は、朝結構早めに目が覚めて、掃除と洗濯をしてご飯をゆっくり食べる時間がある。片づけもしてゆっくりタバコを一本吸って、今でたら15分くらい早く着くなっていう時間に出る。汗かいてない。仕事して、時々サボりながら。仕事終わって帰ってきて、帰って来る途中でスーパー寄って晩御飯作って家帰って食べる。そのあとはだいたい一緒です。なんか結構1人がいいんだなって思うけど、これに並走する人がいてもいいなって最近思いますね。叶えられてる方だと思います。なんもなかったら余裕。でも人生なんかあるから無理って感じ。そんなに早く帰れないし、そんなにうまく起きれないし、タバコ吸っても美味しくないし、植物に水やるの忘れる日もあるし、お酒飲んだら酔っちゃう日もあるし、植物が元気もない日もあるし。

ーあなたの理想の死に方を教えてください

理想の死に方。そんなに長生きするつもりなくて元々。元気なうちに死にたい。ずーっと現役みたいな元気なままで、ふって死んじゃうみたいな感じが良くて。そうなったら事故とかなっちゃう気がするけど、痛いのはや。ほんとにこう、衰退している感じとかじゃなくて、ぱって終わってほしいから。理想だもんな。寝て起きないかな。急でいい。死ぬとこまではそこか。で、ちゃんと誰かに発見されてちゃんと葬式されたい。そんな大勢じゃなくていいから。でもまあ、みんな挨拶くらいきてよって思う。で　火葬してほしくて。骨を木の根元に埋めてほしい。結構大きな木の根元。その木は、誰かの物とかじゃない方がいいけど、共同の樹木葬は嫌だから、僕が育てた木に植えて。その木はなんかよくわからないけどそこにいる。なんかよくわからないけどある、みたいなとこにいてほしい。そしたら誰かが時々挨拶してくれるみたいなのが理想。