PIPE DREAM
原案:『死について!』(作:スタッズ・ターケル 訳:金原端人、野沢佳織、菊地誠子 2003年9月24日出版:原書房)
初演:2019年2月16日(土)
受賞歴:神奈川かもめ「短編演劇」フェスティバル2019 大賞、第10回せんがわ劇場演劇コンクール 演出家賞
Rapid eye movement
おととし祖母が医療ミスにより植物状態になった。
寝たきりの祖母は関節が拘縮し、人は生きていても硬くなるのかと思った。
祖母とは意思の疎通が取れない。
ここで2016年にあったある障がい者施設殺傷事件について考える。
犯行に及んだ男の供述によると命を奪う判断基準になったのは意思の疎通が図れたかどうかだったそうだ。
この考えでいくと祖母は殺される。
生きることを諦め眠りから覚めなくなった難民の子供たちのことを考える。
夢の中では安全な生活ができているかもしれないが、この考えでいくと子供達は殺される。
意思の疎通について考えてみる。
私は友人の赤ちゃんや猫に対して意思の疎通を図ることが難しい。だけど親たちはその声に耳を傾けしっかりコミュニケーションをとっている。
つまり自分だけがその人と意思の疎通が図れないだけで、ほかの人は取れている可能性があるのではないかということ。
再び祖母と子供たちのことを考える。
彼女たちは瞼の下で眼が動いている。つまり夢を見ているはずなのだ。
夢を見ているということは脳が働いているのだ。
声や身体で表現できないだけで、私たちと夢の中で意思の疎通は取れているのかもしれない。
楽しい夢を見ている間に殺されたらたまったもんじゃない。
本作品は、スタッズ・ターケル著作による『死について!』を原案に用い、多種多様の職業、様々な年齢の人々にインタビューを用い演劇作品を制作する。
作中にある『我々が死についてじっくり考え、死に対する恐怖や希望を語るのは身近な誰かが死に瀕している時か、危ないところで死を免れた時ぐらいなものだ』、『人間誰しも自分の理想の死に方で死んで行く権利がある』という言葉を起点に【理想の死に方】についてを京都にて生活、仕事を行なっている人を中心にインタビューを行い、それをモノローグとして扱う。
この世で理想の死に方を迎えることができる人は、いったいどれくらいいるのだろうか。
神奈川公演記録映像
上演記録
第40回記念Kyoto 演劇フェスティバル参加作品 U30支援プログラム公演
2019年2月16日(土) 17:30
京都府立文化芸術会館 ホール
構成・演出・出演:河井朗
ドラマトゥルク:田中愛美
記録写真|脇田友
C.T.T. kyoto vol.120
2019年2月26日(火) 19:00
2019年2月27日(水) 19:00
人間座スタジオ
構成・演出・出演:河井朗
ドラマトゥルク:田中愛美神奈川かもめ「短編演劇」フェスティバル2019 / 大賞受賞
2019年3月23日(土) 14:00
2019年3月24日(日) 12:00
KAAT神奈川芸術劇場 大ホール
構成・演出・出演:河井朗
出演:地道元春(劇団子供鉅人)
ドラマトゥルク:田中愛美記録写真|野中秀憲
C.T.T.セレクション・イン・京都 vol.121
2019年6月3日(月) 19:30
2019年6月4日(火) 19:30
人間座スタジオ
構成・演出:河井朗
出演:黒田健太、高瀬川すてら(劇団ZTON)ドラマトゥルク:田中愛美
記録写真|tanaka manami
第10回せんがわ劇場演劇コンクール / 演出家賞受賞
2019年7月14日(日) 15:00
調布市せんがわ劇場
構成・演出:河井朗
出演:近藤千紘、地道元春(劇団子供鉅人)
記録写真|青二才晶
2022年2月10日(木)〜2月15日(火)【音声展示上演】
会場:北千住BUoY 地下スペース
構成・演出:河井朗
ドラマトゥルク:蒼乃まを、田中愛美
出演:河井朗美術:辻梨絵子
音響:おにぎり海人
照明:松田桂一
制作:金井美希
制作協力:黒澤たける
協力:かまどキッチン、青年団、台風クラブ、ARCHIVES PAY
主催・企画・製作:ルサンチカ
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
Mail|ressenchka@gmail.com
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