『更地』
作:太田省吾
(太田省吾劇テクスト集(全) 出版:早月堂書房 · 刊行年 2007年)
演出:河井朗
初演:2024年3月22日(金)〜3月25日(月)
1人の男と1人の女。2人はかつて自分たちが住んでいた場所に立っている。
過去の日常をなぞり、共に人生を辿っていく。
本当にあったかもしれない、今ここにあるかもしれない、なかったかもしれない、そんな日々と向き直っていく。
『そう、あれはあたしたちしか知らないことだわ、だれも。……だから、なかったことかもしれない』
1992年に劇作家・演出家の太田省吾によって初演された本作は、映画『ゴジラ』の中で、ゴジラが踏み荒らした東京の「更地」から着想を得たと言われています。
震災やテロ、戦争など、いつか起こってしまうだろうと思ってはいるものの、それが今日だと誰も考えていないものが、現実には起こり続けています。
タイトル通り、何も無くなってしまっている「更地」で物語は進んでいきます。途中で「なにもかもなくしてみる」(台詞抜粋)と、自分の意志で「更地」を生み出す行為が重ねられることにより、そこはかとない寂しさが一転して未来への希望を望む物語のようにもみえていきます。
私たちは、現在、隣国の戦争や連日のミサイル発射、頻発する地震など、自分たちがいつどの瞬間に「更地」に放り出されることになるかわからない世界を生きています。そんな中で闇雲に不安を思うのではなく、先人の思考を辿って未来を開いていくために、現在も世界中で続く戦争と、これから起こるかもしれない争いに視点を絞り、争うために用意された、あるいは争いによって更地と化してしまった場所として本作を上演します。
太田省吾
Ota Shogo
1970年より、転形劇場主宰。「小町風伝」(第22回岸田國士戯曲賞受賞)「水の駅」「地の駅」「やじるし」等の作品を発表。国内のみならず、欧米、アジアなど世界的な活動を展開。84年紀伊国屋演劇賞団体賞受賞。1988年劇団解散後は、1990年~2000年まで藤沢市湘南台市民シアター芸術監督、94年近畿大学教授、99年京都造形芸術大学教授を歴任。「風の駅」「更地」「砂の駅」「ヤジルシ-誘われて」「だれか、来る」などを国内外で上演。93年第1回タシュケント国際演劇祭グランプリ受賞。98年第6回読売演劇大賞作品賞受賞。著作に、戯曲「小町風伝」「裸足のフーガ」太田省吾劇テクスト全集、演劇論集「舞台の水」「劇の希望」「動詞の陰影」など多数。
上演記録
2023年9月27日(水)〜10月1日(日)公演中止
会場:北千住BUoY
演出:河井朗
ドラマトゥルク:蒼乃まを
出演:緒方壮哉 永山由里恵
照明:緒方稔記
美術アドバイザー:カミイケタクヤ
制作:黒澤たける
記録:manami tanaka
主催・企画・製作:ルサンチカ
2024年3月22日(金)〜3月25日(日)
3月22日(金)13:00 3月23日(土)13:00 3月24日(日)11:00 3月25日(月)11:00WEB
会場:戸山公園 陸軍戸山学校軍楽隊 野外演奏場跡
演出:河井朗
ドラマトゥルク:蒼乃まを
出演:永井茉梨奈 御厨亮
記録:manami tanaka
舞台スタッフ:井浦サヨナラ 伊奈昌宏 太田久美子 大野創 金井美希
主催・企画・製作|ルサンチカ
共催|戸山公園サービスセンター
助成:芸術文化振興基金助成事業
【掲載情報・関連企画】
・2024年2月15日
・2024年2月16日
「これまでに舞台芸術のチケット代を理由に観劇を諦めた方」を対象招待企画
・2024年2月22日
ステージナタリー 先人の思考を辿って未来を開く、ルサンチカ初の野外公演「更地」が戸山公園で
・2024年3月22日
ステージナタリールサンチカ「更地」戸山公園で開幕、河井朗「まさに、この世は舞台なのかもしれません」
・2024年5月13日
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